top of page
鴎座
theater company KAMOME-ZA

Comment 1
ダブリン演劇祭上演 劇評
ト書きだけで成り立った作品を書いた劇作家はそうたくさんいない。この実験的な上演作品で、佐藤信と竹屋啓子はベケットの『Happy Days』を、深く を掘り下げている。
1961年初演のこの作品は、一場では腰まで、二場では首まで砂の山に埋められた婦人ウィニーが、平凡で陳腐な日常生活を語る奇妙な作品。佐藤と竹屋はこの芝居を、自らの内に向けて語られる独白としてとらえ、語られる言葉のない世界で、細やかな仕草や表現に力を与えた。この作品は、「言葉」と「作品理解」の境界を取り払う。
『Her Voice』 は 『Happy Days』 の一つの解釈であるけれども、ベケットのオリジナル作品を参照する必要はない。ベケットに頼るのではなく、ベケットを基礎に力強く築き上げられた素晴らしいオリジナル作品 『Her Voice』 は、演劇の巨匠へのオマージュである。
Síofra Ní Shluaghadháin(Researcher of University College Dublin)
写真は上演劇場 Samuel Beckett Theatre

bottom of page